・書斎
古城の最上階に位置する小さな一室は書斎になっているようで、左右の壁際の本棚にギッシリと書物が収められ、収まり切らなかった本が机や床の上にうず高く積まれている。
本を読んでみようと試みるなら、書斎にある本の数々は様々な言語で書かれているようであることは理解できるが、何故かその一つも読めない。
書斎をよくよく調べると、本の山と山の間に小さな鍵が落ちているのが分かる。机の引き出しに一箇所だけ鍵がかかっている場所がありそこを開けられる。
その引き出しの中には小さいけれど華美な意匠の箱があり、その中にビロードに大事そうに包まれて半透明の桃色をした薬瓶が収められている。
その薬瓶の中身を呪いを解く薬だと思って飲むと、実は中身は媚薬なのである。
この媚薬瓶は消費されても暫くすると箱の中にまたぽんと沸いて出る。

・主の部屋
最上階に一つだけ鍵の掛かっている扉がある。
その扉が開く事はない。中には城の主がいるが、
そこの鍵を持っているのはかつての恋人だけである。

・宝物庫
古城の最上階に一際重そうな赤と金色の扉がある。
「C'est le stockage de trésor après cela. Vous ne devriez pas y entrer.」と彫られた鉄板が扉の横に掛かっている。
その言語をPCが知っているか知っていないかに関わらず「この先宝物庫。立ち入るべからず。」と書いてあると理解出来てしまう。
それでも中に入ろうと試みるなら、扉は厳重そうな見た目に反してあっさりと開く。
扉の先にもう一つ鉄格子の扉が続いているがこれも開く。
その先には何かの絵物語で見たような豪奢な作りの箱……宝箱が何個かある。
もしもその宝箱を開こうと蓋に手を掛けてしまったのなら、その途端に透明なジェル状の液体が宝箱から噴き出してPCを襲う。
PCは滑ってしまって他者の力を借りなければその場で立ち上がることもままならない状態になるだろう。
宝箱を狙う者をその場に釘付けにして捕らえるための仕掛けであり、それ以上の悪いことは起きない。

・おもちゃのおへや
最上階の部屋の一つに、扉の横に「Pièce jouet」と書かれた鉄板のかかっているものがある。
PCがその言語を知らなくとも「おもちゃ部屋」と書いてあるように感じられる。
開けると子供部屋と思しきカラフルな内装で、縫いぐるみや人形が棚にたくさん飾られている。
おもちゃ箱と思われる箱を開くと乗り物のミニチュアや着せ替え人形や小さな楽器、
パズル、小さなリモコンに繋がったピンク色のつるりとした小さな石、
大きな丸いビーズがいくつも連なったようなスイッチを入れると動き出すおもちゃなどが出てくる。

・客間
古城の二階には客間が何部屋も続いている。そのどれもに鍵は掛かっていない。内側からかけることはできる。
客間の中には二つのベッドと小さめのティーテーブルと椅子、空の衣装箪笥とその隣に背の低い棚がある。棚の中を探すと香油が見つかる。
客間にはお手洗いもついており、石鹸や小さなタオルもある。風呂はない。

・大浴場
古城の一階にローマ式の大浴場がある。
常に湯が沸いており、円形の浴場の中心には細身だが均整のとれた身体つきをした美しい青年の白い石像が設置されている。
脱衣所には大量の清潔なタオルとバスローブが用意されている。

・大食堂
一階の大食堂に続く部屋に近づくと、食べ物のいい匂いが嫌でも鼻をつく。
扉を開ければ、長テーブルの上にいくつもの火が灯された燭台と匂いを裏切らぬご馳走が並んでいる。
ここの食べ物は不思議なことにいくら食べても暫く経つとぽんと新たに沸いて出る。

・玄関ホール
古城の一階に位置する。最初にいる場所である。
玄関は重々しい金属の扉に閉ざされており、どんなに力を入れても開く様子はない。
尚、城中の廊下や部屋にある窓から外を見ると必ず酷い吹雪でほとんど外が見えない。

・ダンスホール
古城の一階に舞踏会を開けそうな広い広い真っ白なダンスホールがある。何も置かれておらず、誰もいない広いだけの空間は恐ろしささえ感じさせるかもしれない。
この広い広いダンスホールの中央付近に、踏んでしまうと落とし穴が足元に開いてしまうタイルが一つある。
その落とし穴の先は下の階の地下牢に繋がっている。
ダンスホールの最奥に、不似合いな鉄製の無骨な扉があり、その先にある小部屋に地下牢へと続く階段がある。地下牢から階段を上がるとここへ出る。

・地下牢
地下牢の中は老朽化と湿気により水が漏っており、落とし穴から地下牢へと落ちてきたものは自然にびしょ濡れになる運命とある。
地下牢の外にある狭い廊下の壁に釘が一本打ち付けられており、そこに牢の鍵がかけられている。
また地下牢の扉は錆びており、人狼化したPCの力ならば簡単に壊せるだろう。