舞台となる町の情報 †
────1970年代アメリカ。
ヘイヴンは広大な山地にある谷間を切り開いて作られた小さな町だ。
住民は皆顔見知り。入植以来先祖代々住んでいる者が殆どで、多少の変人やご近所の鼻摘みが居たとしても、大きなトラブルなどはなく、概ね親密な関係を築いている。
事件らしい事件など滅多に起こらない──そんな平和な田舎町。
- 交通
町と外界を繋ぐのは、切り立った山肌を這うようにうねる一本の道路だけで、その周りは深い森林に覆われている。
隣町や少し大きな街へと出る時は自動車が必要になる。徒歩では相当に時間が掛かるため、移動方法としては現実的ではないと言えるだろう。
- 特色
独立戦争後の時期に、イングランドから渡った移民団を祖先としている。
入植者たちは、当初から一貫して宗教関係者を締め出す方針を取り続け、教会の建設や布教を一切拒んできた。そのため、ヘイヴンはプロテスタント優勢の周辺地域と一線を画した、宗教的な空白地となっている。
近年になってその規制は緩和され、ごく少数者ではあるが宗教関係者も町に入ってくるようになったが、今でも大方の町民は宗教関係者に対してあまり良い感情は抱いてない。
- 災害と町の状態
町は一週間ほど前に激しい暴風雨に見舞われ、甚大な被害を蒙った。
死者こそ少なかったものの、半分の区域は未だ復興の目処が立たず、住民は不便な生活を強いられている。
被害の大きい地域の住民約150余名は、その大半が学校などでの避難所生活を続けている。
また、道路が開通してすぐに、8世帯30名程が町に見切りをつけてそうそうに町外へと避難してしまった。
舞台となる区画は比較的被害が少なかったため、約50人の住民達が既に帰宅しており、いくらか平常の生活を取り戻しつつある。
- 電気電話及び上下水道は、舞台となる地域でやっと復旧したというところ。使用には問題ない状態になった。
- 一日目には再び電話が使用できなくなる予定。
施設 †
- 集会場
- この区画にある古い集会場。最近はあまり使われていなかったが、一時的に避難施設として使用していた。
- 図書館
- 古い図書館。地下には入植初期からの町の記録が保管されている。
- 共同墓地・安置所
- 町の共同墓地にある遺体安置所。全ての遺体は一旦ここに運ばれ、ニ三日置いた後に葬儀を行うのがこの町の古くからのしきたりとなっている。
町営。安置所の鍵は町役場及び町が任命した管理人が管理。
何故か内側から鍵が開くようになっている。
15年ほど前改築した際にかなり大きめに拡張したので、内部はそれなりに広い。20人程が一度に収容できるようにはなっている。
(無理すればもっと詰められるが)
墓地・安置所とも一見普通に見えながら、どういう訳か十字架などの意匠は一切使われていない・・・。
- 町役場・学校
- どちらも被害が大きい区域にある。学校にはその区域の住民が避難している。(物語の進行と同時に連絡が取れなくなる予定)
役職説明 †
- ─人狼=人狼
ギルバートによって覚醒させられた「先祖帰り」。
大方の「先祖帰り」と同じく、急激な肉体的、精神的変化を体験することとなる。
そのストレスに耐え切れず、食人欲求や攻撃衝動に屈するものも出てくるかも知れない。
※人狼は自分が人狼であるという事は、ギルバートが教えない限り知らない。
- ─聖痕者(結社員)
世界的な秘密結社の一員で、「人狼の子孫」の追跡調査のために派遣された現地駐在員。
結社の名を外部に洩らす事は禁忌であるため、単に「結社(ソサイエティ)」とのみ呼ばれる。
現地駐在員は、結社によって派遣時に人狼の血を引いていないことを条件に選ばれている。故に、理論上はギルバートとの接触による人狼因子活性化の影響を免れる事が出来る筈である。
※人狼及び結社についてレベル1の情報を全て知っている。
- ─村人
人狼の血を引く人狼因子保持者だが、人狼として覚醒せず特殊能力も発現しなかった「人間」。
本来はそのまま平穏に人間としての一生を終えるはずであったが、ギルバートとの接触により、人狼因子活性化の影響をこうむることになる・・・。
※村人及び村側能力者は全員、影響度の多寡はあれど活性化によって精神的に不安定な状態になる。
- ─占い師、霊能者
人狼因子の活性化で、人狼を感知する能力を得た人狼の子孫。
占い師は生きた人狼を、霊能者は死亡した人狼を感知する事が出来る。
人狼を感知した時の感覚、感知する方法、人狼をどのような存在と感じるかは一任。
※能力を行使するに当たり、道具を使用するRPは雰囲気にそぐわない為基本的に無しとする。
※占い師/霊能者は、「人狼」についての知識を何らかの方法で得ない限り、自分が感知した存在が人狼であるとは分からない。
- ─C国狂人/狂信者
人狼として覚醒するには至らなかったものの、限定的に人狼の能力を取得した者。人狼のなり損ない。
C国狂人は、人狼のみが有する微弱なテレパシー能力を取得している。
狂信者は、自らは発信も受信も出来ないが、人狼が発する磁場のようなものは察知できていて、人狼が誰であるかを知る事が出来る。
人狼の味方となるか敵となるかは本人次第。
※狂信者は、「人狼」についての知識を何らかの方法で得ない限り、自分が察知した相手が人狼であるとは分からない。
※C国狂人は、人狼が教えない限り、自分が会話できる相手が人狼であることは分からない。
- ─守護者
人狼因子活性化により、人狼の攻撃衝動を一時的に沈静化する能力を得た者。自分が選んだ対象への敵意を一時解消する。人狼は「何故か攻撃したくても出来ない」状態となる。
ただし、この能力は使用者本人には効果がなく、人狼が本人に攻撃した場合は無力である。
※この能力を自覚的に使うか無自覚に使うかはPLに一任。
※守護者は、「人狼」についての知識を何らかの方法で得ない限り、自分が守護する対象を攻撃する存在が人狼であると知ることは出来ない。
PCの知らない世界設定 †
ここに書かれている情報は、基本的にはPCの知らない情報です。(結社員などの一部例外除く)
自キャラの設定作りの参考にして下さい。
★ただし、あくまでPCは知らないものとして厳密な態度をお願いいたします。
- ─レベル1の情報
- 人狼
それはヒト…ホモ・サピエンスの近縁種であるが、人間とは異なる人類。
外見的には人間と全く変らず、伝説の中で語られているような獣や獣人への変身能力はない。
人間に比べて長命であり、きわめて強靭な肉体と生命力を持つ。
一般的には人狼は実在するとは思われておらず、その存在を知るものは少ない。
- 結社(ソサイエティ)
世界的な秘密結社。歴史は古く、12世紀にまで遡る。
基本的には超常現象やUMAを研究する学者の集団であり、その資料を保存するのを第一義とする。
本来は人狼もその研究対象の一つでしかなかったが、20世紀に入り、一人の生きた人狼を捕獲した事から科学的な方向からの人狼研究が進み、現在ではこの部門は結社内で大きな力を持つようになった。
(※アン・ライスの著作「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズ等に登場の「タラマスカ」をモデルとしている)
- ヘイヴン
ヘイヴンを開拓した移民団は、とあるイギリスの村の住人達が中心となって発起したものである。
結社は、彼らが移民を決意する数年前にその村で人狼事件が起きていたという情報を掴んでいる。
- ─レベル2の情報
- 人狼
人狼の繁殖力は恐ろしく低く、純粋種は今ではほぼ絶滅している。
現在存在している人狼は、厳密に言えばヒトとの交配種であり、純粋種よりは能力的に劣っている。
人狼同士では受胎率が非常に低く、逆に人間とではやや高くなる為、繁殖には人間を求める場合が多い。
人間との間に生まれた子が人狼であることは稀で、その殆どが人狼の能力を一切持たずに生まれる。
ただし、その子孫から先祖帰り的に人狼が生まれることがある。
この先祖帰りした人狼が人狼の能力や特徴を開花させるのは、思春期後期〜成人後であることが多く、精神的に不安定になりやすい。
特に男性の場合は、攻撃衝動が肥大化して食欲や性欲を抑えられなくなり、ほぼ100%暴走する。
過去に発生した「人狼が起こした犯罪事件」の中には、この先祖帰りした人狼の犯行が多数含まれている。
- ギルバート *1
ギルバートは、人狼因子を持つ者と接触すると、対象の人狼因子を活性化させる。この反応は劇的で、本来人狼として覚醒するに至らない者まで影響を与えてしまう。
彼は、こうして強制的に「先祖帰り」を起こさせて、人狼を増やす役目を負っている。
人狼の血を引く子孫の前に現れて、人狼となりえるものが居ないかどうか探すのだ。
現存する数少ない人狼のコミュニティには、このようにしてギルバートに覚醒させられた人狼(主に女性)がかなり加わっている。
彼は今では絶滅した純粋種と推定されており、分かっている限りでは約三百年程前から生存している。
- ヘイヴン
ヘイブンは人狼の血を引いている者たちが安住の地を求めて作った町である。彼らは人狼ではなかったが、自分たちが人狼の血族であることは知っていた。
その後、彼らが子孫にこの事実を積極的に語りたがらなかったために、後の世代には段々伝わらなくなり、次第に忘れ去られていった。
現在ではこの事実を知るものは殆どいない。